2020年2月 のアーカイブ

農場の区画再整備と灌水システムが完成しました。(その1:分水システムの制作)

2020年2月29日 土曜日

「カモミール」といえばハーブ園、ハーブを栽培する農場を施設のシンボルとして、日中作業の柱の1つとして晴れた日はいつも農場で過ごすことが、利用者の皆さんの日課となっていました。利用者さんたちも長閑な農場で自分のペースで作業することがとても楽しみな様子でした。

ただこの農場にはとっても大きな欠点があり、毎年夏になると職員の負担がとても大きくて、それが悩みの種になっていたのです。

 そう、ここには水が通っておらず、これまでは毎日事務所から水を何個ものポリタンクに入れて、車で運んでは畑に水を撒いてきたのでした。ところがこの夏のあまりの暑さで、運ぶ水にも限度があり、更には雑草もものすごくて、もはや職員の手で農園を維持することが困難となってきました。

 

そこで、昨年思い切って「木口福祉財団」に農場の再整備資金として助成金の申請をしたところ、幸いその申請が認められ、今年9月におよそ100万円の助成を受けることができました。

しかもその助成金は、今年5月に掘った農場の井戸工事にも適用されるのです!! なんて素晴らしい。(とはいえ、灌水システム自体を外注すると、とんでもなく高くつくので、そこは部材だけ購入して、あとの工事は自分たちで行うことになるのですが・・)

これが5月に掘った井戸です。地下26m付近からポンプで揚げています。

そこで、いよいよ覚悟を決めて本格的に農場の再整備プロジェクトを立ち上げることにしました。

 更にこれを「就労継続B型施設」立ち上げを含む多機能化プロジェクトの一環として位置づけて、この際思い切って農場全体の区画を再整備して、ハーブ関連商品の製造と販売を担うための環境整備を進めることとしました。

 

1] 分水システムの制作

まず、農場全体を4つのエリアに分けて、各エリアごとに経路を分けて給水するシステムを作ります。ホントは農家さんが使うような専用のシステムがあればよいのでしょうが、なにせお金がないので、これも手作りすることにします。

これがネットで手に入れたプログラムタイマーと電磁弁です。タイマーで電磁弁に通電すると弁が開いて水が流れ、電気が切れると弁が閉じて水が止まる仕組みです。

セットするとこんな感じになります。

そして、これを各径路ごとに塩ビ管につないで井戸に接続し、灌水システムの起点とします。

 

 

今回は、予備を入れて全部で5経路作りました。費用は8万円ほどかかりました。

更に電磁弁の手前には、止水栓を配置して経路ごとに手動で水の供給/停止ができるようにしました。

これは分水システムと井戸の間に設置するフィルターです。

井戸からの水には細かい砂が混じっていることがあるため、スプリンクラーが目詰まりしないように設置します。

塩ビ管に接続すると、こんな感じになりました。

そして、これら全体を農場に設置します。

井戸と分水システムの間にフィルターを設置します。

これを作るまで結構苦労したので、実際に設置すると、青空に分水システムが映えてなんか嬉しくなりました。

 

農場の区画再整備と灌水システムが完成しました。(その2:ブルーベリー畑)

2020年2月29日 土曜日

先日は灌水システムの起点となる分水設備を作りましたので、今回はいよいよ農場の灌水システムの工事に入ります。

 

2] ブルーベリー畑の再整備

もともとブルーベリーの木は水を多く必要とするのですが、これまで夏場はポリタンクで水を運ぶ毎日でしたので、生育環境はかなり厳しいものでした。

更にこのエリアは雑草もすごくて、夏場の草刈りでは時に雑草と間違えてブルーベリーの木を切ってしまうことすらありました。
そこで今回は、まず雑草対策として、エリア全体を防草シートで覆い、その上で灌水システムを設置することにします。

木の根元だけ給水用のスペースを切り取り、エリア全体に防草シートを敷設します。

エリア全体に防草シートを敷設したところです。

これで夏場の草刈りが少しでも楽になればいいのですが。

そして、防草シートの上に塩ビ管を通して、分水システムから基幹線を伸ばします。

水圧を維持するために、基幹線(25mm)からの分岐は耐圧ホース(19mm)を使って、その途中からさらに5分岐コネクタ(4mm)で、それぞれの木の根元に給水します。

ブルーベリー木の根元にスプリンクラーヘッドを設置して、1本ごとに狙い撃ちで給水する仕組みです。

更に手前のレイズドベッド(花台)については、個別に給水ができるようにしましょう。

レイズドベッドごとにミニスプリンクラーを設置して、散水します。

これで、ブルーベリーエリアの工事は完成です。

 

農場の区画再整備と灌水システムが完成しました。(その3:ガゼボ前中間エリア)

2020年2月29日 土曜日

さて今回は農園の中央部、ガゼボ前のエリアを工事します。このエリアでは商品用ハーブを栽培するため、エリア全体を新たに区画分けし、各区画ごとに給水する仕組みを作ります。

区画整理前の様子です。これはこれで自然な感じで良いのですが、商品用ハーブの栽培には自然すぎるうえ、夏場の雑草は半端ないです。

まずは区画の整理です。エリア全体を整地して区画ごとに柵を設置していき、その間をタイルで道を作りました。

区画の仕切りに使う柵もベニヤと角材で利用者の方たちと手作りしました。

ここはまた、井戸を設置したエリアでもあり利用者も頻繁に入る場所なので、まず周りを防草シートで覆ってスペースを確保します。

去年の夏は、芝刈り機で雑草を刈るときに、間違って井戸の電線を切ってしまう事故もありました。

さらに井戸の周りを防草シートで囲って、夏場の雑草対策をします。

さて次にガゼボ前の工事に入ります。まず、塩ビ管を敷設する溝を掘るのですが、耕運機とショベルを使って塩ビ管を埋設する溝を作っていきます。育っているラベンダーなんかが枯れないように、まずは根っこから移動させてからの作業なので結構大変です。

それができたら、スプリンクラーを設置するための塩ビ管を敷設します。

水圧を維持するために、基幹線(25mm)から塩ビ管(20mm)で分岐し、更にスプリンクラー用(13mm)塩ビ管を接続します。

基幹線にには、こんな感じで接続します。

そして、スプリンクラーをつけるノズル(13mm)を立てます。

ノズルの位置を確認して、全体を埋め戻します。

根元には台風対策と角度調節を兼ねて、コンクリの踏み石を入れました。

そしてこの工事をこのエリア全体のすべての区画に施します。

こうやって、このエリアに、2m×2mの区画を6区画、2m×3mの区画を3区画作りました。更に、エリアの区画外に生えているローズヒップやオリーブには、ブルーベリー同様に、それぞれの根元に個別に給水します。

これで、このエリアは完成です。

 

農場の区画再整備と灌水システムが完成しました。(その4:入口エリア)

2020年2月29日 土曜日

さて、これまでは農場の奥の方を工事してきたので、これからは入口方面の工事に入ります。

このエリアは、訪れる方が最初に目にするエリアですので、できるだけ自然な感じを維持しながら整理していきたいと思います。

 

まず全体を土留タイルで区画に分け、その間をプレートタイルで小道を作っていきます。

そして各区画を畔板で仕切って、それぞれ2種類のハーブが栽培できるようにします。また、商品用ハーブの栽培は、どちらかといえば地味な感じになりがちなので、各区画ごとに鉢植えを配置して、花も同時に楽しめるようにしました。

反対側も同様に区画を整理します。

それができたら、次はスプリンクラーの工事に入ります。

このエリアは区画のサイズが比較的大きいため、地中の塩ビ管への接続はホースを使って、畔板の位置によってスプリンクラーの位置を変更できるようにしました。

そして、こちらも同様に踏石を置いて角度を調整します。

そして最後にガゼボ前のコーナーにも給水します。

このコーナーでは中央の木の周り4か所にミニスプリンクラーを設置しました。

これでこのエリアは完成です。

 

農場の区画再整備と灌水システムが完成しました。(その5:中央前エリア)

2020年2月29日 土曜日

そして最後に入口奥の中央前エリアの工事です。

ここは敢えて区画整理をしないで、これまでの形をそのまま残した自然なコーナーとして維持することにしました。

よく言えばイングリッシュガーデン風・・になってくれたらいいなって場所です。

実のところあまり手入れもせずに数年たっているので、いろいろな花苗が自由に根を張り種を飛ばしているので、このエリアでどんなハーブや花苗、木が育っているかは、私もよくわかりません。かなりの種類が育っていることは間違いないのですが・・

そこで、このエリアは基幹線(25mm)からホース(19mm)に接続し、最終的には4mmホースで園芸支柱で高さを調整したミニスプリンクラーに接続しました。

こうすることで、支柱をいつでも好きな場所に移動して散水することが可能となります。

支柱はいつでも抜いて別な場所に移すことができます。

これで、農場全体の区画整理と灌水システムが完成しました。

昨年5月に井戸を工事して以来、区画の整理から灌水システムの設置まで、気が付けばおよそ10か月の月日がたっていました。

 その間、寒い日には塩ビ管が凍結して、分水システム自体が割れてしまうという事故もあったりして、いろいろな経験の中で多くを学ぶことが出来たと思います。

でも、これでようやくハーブを商品化するためのインフラが整ったわけで、いよいよ本格的にハーブの商品化に向けて動き出す準備ができました。

 また利用者さんたちの日中作業の場所としても、夏場の作業で水撒きと雑草取りだけに追われることなく、各人ができることを探して作業する余裕が生まれます。施設として考えればこれが何よりです。